作品は同館収蔵の平安時代や鎌倉時代の陶器の表面に流れる釉薬の形態を滝に引用し、同館の過去の収蔵品と重ね合わせて鑑賞することにより、時空を越えた日本人の美意識を示すことができるのではないかと思いました。
スミソニアン国立アジア美術館は北斎の作品の収蔵でも世界的に群を抜いています。この中央の滝の形は具体的に北斎の滝の作品からヒントを得て創り出しました。また背景の青は北斎が当時海外から渡ってきたベロ藍に近い色を天然群青を天然黒群青と混ぜ合わせ作りました。北斎の絵と並び展示されればさぞかしと思いますが、それはまた常設展の中で実現出来ればいいなと思います。
会場に設置された美術館のキュレーターによる作品解説です。北斎の作品との関連が書かれています。重力により水が流れる形に美と神秘を感じた画家は私に始まったことではなく、長い日本の歴史の中で繰り返され普遍化された美意識だと思います。
スミソニアン国立アジア美術館日本美術キュレーターのフランク・フェルテンズさんとの記念対談が行われました。通訳をしてくださったのはワシントンD.C.在住の岡崎詩織さんです。見事な通訳ありがとうございます。私はここで世界を西洋と東洋で二分割するには現代はあまりに複雑化されていて困難な時代であること、東洋から始まって、最終的に重力は美しいという洋の東西を越えた普遍的な意識を生む作品になったと感じていただければうれしいと話しました。
日本から奈良国立博物館井上洋一館長等々、多くの大変忙しい皆様がワシントンD.C.までお越しくださいました。大変ありがたいことです。同館のキュレーターのフェルテンズさんとは井上館長が東京国立博物館副館長の時代に面識があり、枠組みを越えて世界中の日本美術関係者たちがつながっていると感じました。
ニューヨークに戻り、制作中の佐川美術館個展出品作を完成させました。京都の表具屋に送り、これを六曲一双屏風に仕立て、7月2日からの佐川美術館千住博展に出品します。この個展には佐川美術館の収蔵品である色彩を使った多くの代表作や、日本でまとまって展示するのは1993年のニューヨークでの個展以来となるフラットウォーターシリーズを多く出品します。ぜひご覧下さい。
